クローゼットには、
何枚ものシャツが並んでいる。

それでも、
朝になると決まって手に取るのは、
オックスフォードシャツだった。
理由はうまく説明できない。
着心地がいいからかもしれない。
合わせやすいからかもしれない。
でも、
たぶんそれだけではない。
何年も着続けても古くならず、
何度洗っても少しずつ自分のものになっていく。
そんな安心感がある。
新品のまま美しい服もある。
けれど、
何度も袖を通し、
少しずつ柔らかくなったシャツには、
新品にはない表情がある。
それは服が変わったのではなく、
その服と過ごした時間が積み重なったということ。
流行は変わる。
けれど、
長く着続けたオックスフォードシャツだけは、
その人らしい毎日を静かに映してくれる。

きっと、いいシャツとは、
気がつけば一番袖を通しているものなのだと思う。